指輪は気軽に付けられる半面、気軽に外せないといけませんよね。特に硬い素材であるタングステンは、いざと言う時に市販のリングカッターでは切断出来ないんです。指輪を付けっぱなしにして指が太くなりはずせなくなった、指輪をしたまま骨折してはれてしまったなど、いつどうなるか分からないのです。
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切断が最終手段と言われているが
外せなくなった場合は、リングカッターで切断と言う訳ですが、一般的なリングカッターでは、
- タングステンなどの硬い金属の指輪は切断できない
と言われています。これは私たちが購入できる市販のリングカッターに限らず、消防署で用意しているリングカッターでも切断できない事もあるのです。技術の進歩と共に、硬い金属でもアクセサリーとして加工できるようになりましたが、切断の面では、追いついていないのです。
自分で切断をする理由は、リングカッターへの不安
リングカッターに切断出来ない素材があると言う、個人的な不満と不安があるので、私はリングカッターを持っていません。硬い素材の指輪が増えているのに、硬い指輪を切断できないリングカッターでは、高い買い物だと私は思っていました。
そこで、他に切断する方法はないのかと調べてみた結果は、あるもんですね!切断方法は単純で、素材より硬い刃で切断すると言う事ですね。一般的な指輪の素材の中でも一番硬い「タングステン」よりも硬いのが「ダイヤモンド」です。
消防署でもどうにもならない事もある
ダイヤモンドで切断出来るのなら、プロなら用意してるでしょ?と思いきやそうとは限らないんです。
消防署でも用意している場所はあるみたいですが、用意している方が珍しいと言われるほど少ないみたいです。
例えば、大阪市消防局では、指輪が抜けない事の相談が、年間で250件から300件、(1ヶ月計算で、約21件から25件)もあるとのことでダイヤモンドカッターを導入したみたいです。全国的にみたら一体どれだけの件数になる事やら・・・。
タングステン切断の参考にしたのは
ダイヤモンドは宝石に限らず、工業用の刃としても色々な形で使用されているんです。自作のリングカッターを作成するのに、参考にさせていただいたのが、
電動式リングカッターについて 横須賀市消防局
http://www.ffaj-shobo.or.jp/ronbun/data/h20/h20_kiki08.pdf
※PDFファイルの為、重い可能性や、ご覧の環境によっては、ダウンロードとなります。なおPDFファイルの為URLの記述のみにしています。
という記事です。2008年の新聞に載ったらしいのですが、結構前から対策しているのですね。消防署の方でも、リングカッターの使い勝手の悪さに自分たちで改良したとの事です。これを自分なりに作成します。
切断の為に用意した物
ミニルーターセット 4,298円
ミニルーター用ダイヤモンドディスク 18㎜、22㎜、25㎜ 3本入り 1,933円
銅板の地金 120㎜×120㎜ 厚さ2㎜ 788円
タングステンの指輪 21号 幅3㎜ 厚さ0.5㎜ 1,000円
保冷剤 冷凍庫に眠っていた某ケーキショップの物 無料
耐水ペーパー(紙やすり) 趣味で使った余り物 おそらく数百円程度
合計金額は、8,019円+家にあるもの
ポイントに置いたのは、
- 出来る限りお金をかけない
- 安全に切断できる事
この2点です。ルーターは安い価格のセット品で、指輪を抜かしても、市販のリングカッター程度になります。ダイヤモンドディスクに「金属以外の」とありますが、購入してから気付きました。無理しなければ大丈夫でしょう。
まずは、ガードになる冶具を作成する
理想は、金属アレルギーの面でシルバーの地金だったのですが、同じサイズで、10倍以上の金額になるので、銅で妥協しました。
この地金は、指輪と指の間の保護具としての役割なのですが、電動のルーターで切断する場合は、熱が出るので、冷やしたり切断する予定で熱伝導率、保冷剤の冷やす温度が早く伝わる、銀の次に熱伝導率の早く安い銅を選びました。
ミニルーターで2センチの幅に切断。
指輪と指の間に差し込む部分を切断して、
基本の形は完成。面取りをしてあります。
指輪と指の間に差し込む部分のアップ。ここから成形、やすりがけ、研磨をしていきます。
最終的な完成系です。ピッカピカにしようと思ったのですが、妥協しました。成形は参考にした形に習っています。
以上で加工自体はおしまいです。ミニルーターでは切断に時間がかかりました。
いざ、切断!!
タングステンの指輪はネットで注文した切断する為の指輪ですが、この指輪をそのまま切断するとは申し訳ない気がします。シンプルながら素敵な指輪で、安いので選んだものの正直迷いました。(笑)ちなみに切れない場合に抜けないと困るので、きついサイズは選んでいません。
ミニルーターにダイヤモンドディスクを差し込み、コンセントを差し、指輪を付けて、先ほど作った保護用の地金を指輪と指の間に差し込む。手のひら側の方が、手のお肉が柔らかいので差しやすいです。
ここで保冷剤を銅にあてて、冷やしました。すぐ冷えます。
ダイヤモンドディスクは、回転数10,000rpm以下(1分間に1万回転以下)が最適と説明書きがあり、ミニルーターの回転数は、最低回転数3,000rpm~最高回転数13,000rpmとなっています。ただ、私が購入したルーターでは回転数の数値は出ないので、限りなく遅めの回転数で回します。
力を入れずに、ルーターの重みでゆっくりと切断します。途中で指輪と地金に熱がこもっているか確認。熱いと言うほど熱は持っていません。
1ヶ所切断完了!!かかった時間は約7分です。ここからは、指輪を広げるか、反対側を切断する形になるのですが、逆開きのプライヤーを用意していないので、反対側を同じ手順で切断します。
切断完了!!表裏の2ヶ所切断となると15分ぐらいかかると思います。切断時に思っていたよりも振動が来たので、指が腫れている場合は、無理に切断しない、または、慎重に切断する必要がありますね。
切断のポイントとなるのは、力を入れない事です。ミニルーターの重みで削って切る感じで十分切れます。ちなみに、ダイヤモンドでない砥石のディスクで切断できるか試しましたが、跡が付くぐらいです。砥石であればいずれか切断できると思いますが、相当時間がかかるでしょう。
切断して気付いた点は
- ミニルーター
- ダイヤモンドディスク
- 保護用で加工した地金
が最低限あれば、タングステンの指輪でも切断できる事が分かりました。タングステンが切断出来れば、一般的な他の素材も切断可能だと思います。ただし、タングステンなどの硬い指輪は一切購入しない場合には、市販のリングカッターの方が安全に切断できるので良いですね。
今回の切断方法を改善するとしたら、色々用意するともっと安全に切断できると思います。
切断部分以外をカバーする保護具や、切断や加工をする時の粉じん対策をして、マスクや卓上の集塵機など。個人でどこまで用意するかは難しい部分ではありますが、安全性は向上させたほうが良いと思いました。
まとめ
指輪はサイズの合う物を付けるのが大切ですが、サイズが合っていたとしても、指の骨折ではれてしまい緊急事態で切断となる事も想定されます。せめて、硬い素材の指輪を販売している実店舗では、何かあった時にその硬い指輪を切断できる用意をして欲しいと感じました。
最後に、成功しましたが、あくまでも個人的に試した事なので、今回のやり方はおすすめは出来ません。ただ、硬い素材の指輪を購入する場合は、必ずサイズを測って、無理に付けない様にして下さいね。